置換計画

筆名「石丸公竹斎」の短歌作品を掲載

補完計画→置換計画

2020年5月25日:旧友からの誘いでフェイスブック中のチャット欄で皆がフリーな気分で俳句・短歌作品を発表する場に参加。それ以来一日一首の発表を自らの課題として久しぶりの作歌を始める。

同年7月3日:チャット欄開設から1ヶ月が過ぎ、そちらでは過去の作品が物理的に埋もれて(スクロールに手間取り骨折る)しまうためスレッド管理人の作品のみをブログに掲載する。

1章 2020年5月25日より5月31日 七首

新型コロナウィルス緊急事態宣言が全国で解除される(5月25日)。新潟県・市はそれ以前5月14日に解除。職場のイオンモール新潟南モール棟も5月13日より時間を短縮して営業再開。呼びかけを受けてから短歌作品を久々に作り始めるが、言葉の配列に戸惑い 短歌もどきにしかならず落胆、試行錯誤続ける日々となる。

デンデンまるで動かぬ船の音のさびし、そよ溜まる空気の重さよ

待っている、こんなはげしく濃く青くゆがんだかたちで吸い込まれたなら

君んちの壁の裏から怪獣出没 、ねえ見せてよつましき陥没

大概なマンボ、噛み合わぬ辻褄、時々は舞台の脇で寝る

誕生花を取り違えぼくは嘘つきお喋りとか、しどろもどろな白昼

好色雑色炉モンジくん食いぶちは自分で稼ぐ日照る日中に

ワニ退治だよこころして来い、でも覚悟はときどき揺らしあたためてね

 

2章 2020年6月1日より6月30日 三十三首

プロ野球6月19日開幕、当面は無観客試合。職場は6月13日より以前の開店時間に戻る。村上春樹著「猫を棄てる」刊行(短歌に引用)。誕生日を迎え満65歳に。

しょぼくれてたけど「いいね」「いいね」やだ地団太して人はきたなし

嗅覚バン!発色バン!飛べない鳥が千万と街をはさんで求愛ダンスす

人はみな悔い改めてもその程度、そうだろオマエ黙ってオレの尻をさわるな

きみは空へ声上げ散って、でも人体許可局長ウーン首かしげ却下す

象を追い象に騙され潰されかけて、大人になってく飛べぬままだが

あやしモルグ街2丁目千匹の子ザル跳び出でどの路地からも

恋人が少しはにかみ経皮経肝胆管ドレナージ、痛くないよね怖くないよね

見えづらい陥没や砂、避けがたい領域にいまあり夕餉の時を待っている

水分脂分の持続系たるわたしやあなた、意表を突いて砂地に住まう

見て!あれが禁じられたハンバーグ、聞いて!ずっと止まらぬ警笛ぐゎんぐゎん

友だちになろうよ、ぼくは丈夫さ筋トレに励むしよく森へ行く

<あるみ村長への返歌>
友よ不憫に、賃貸の森さまよえば紆余曲折のぬかりさえぎり

孤独でデリケートなわたくしが唸ったり戸を叩いたり、のっぴきならず

我が内の起伏に住まう制御棒の良し、世界の不穏に対峙出来ねど

君がためいざ繰り出さんミックスグリル、肉々しく頬張りて芳し

かたくり粉横向きのネコ、雲助の好むハチャトゥリアン突飛たじろぎ

歌がわり輝くすべを忘れ悲し、空へ帰るのかあなた許せよ

歌わかれ潤滑で魔法みたいに羽織ったり刺したりの叶わず 許せぬ

さよなら戦うお父さん!風船は空へ猫の子は捨てられず、痛恨

自分神社で祭礼うかれ、首長竜やクジラの風船たなびいている

風船を束ね悲しみ少し宙に浮く、傾くは束の間微風厭いて

<あるみ村長提出題詠>
水辺、秘密のコーヒー錆色の香に持ち重りあり翳に乗じて

きっと何も変わらぬはずの風船爆弾、君ん家を無理に歪ませ

そう、われは「そらの子」なのだ忽然と揮発気化して低空を凪ぐ

もっともっとわたしを信じて造山活動、この身このまま目覚めに怯えて

風心地よき街に噂のコロッケが、どの扉どの窓からも香のかるさよ

きみが誘った世界史講義、瓦礫には瓦礫の理由ありゆくてに花あり

傘持って電車に乗って風と走りだし、いま鉄路歪んで空に近づく

パセリ喰いたし咀嚼音あげたし!孤独な男のたてる音の憂し

夜具につましき香のあり、痛い匂いや死の匂いのこめかみに満つ

オンラインできみら慇懃に和したり愛したり、わたしは心を置いてきている

惑う、思い出の中の歌声はみな眠りの後の男女につらなる

 

3章 7月1日より7月31日 三十六首

新型コロナウィルス感染者、宣言解除後東京の「夜の街」周辺より再び増加。梅雨前線活発化で九州ほか全国で水害発生。新潟市周辺も大雨が続いた。新潟市より介護保険の算定明細書が届き、あまりの高額に驚き慌て、老後の生活に不安を覚える。角川「短歌」8月号購入、水原紫苑を知る。「雀の車」28首に衝撃を受け呼応する作品ができぬかと試作が続く。

アルパカだラクダのようだ楽をしておまえに侮蔑のキスを贈ろう

おしなべて高きを好む、頭上には鳥の影のみ影の色はしらず

潤いて重く黒く空あり、いずれ滅ぶわれやわれらに雨降らすため

 不寛容な季節でないか、ぼくら煮崩れたジャガイモさながら旅の中途で

回り道して熱帯樹を見に、ほら葉陰の魍魎たち柔らかげに揺れ

ミツバチや鳥上空で溶け合い、溶け切れぬ翼きらめく、夏正午ころ

「闇がふたつに分かれてくよ」よく気づいたね彼らねぐらに帰る道なり

ポップコーン空豆ビスケットさあもういちど…今度はわたしが試されている

深夜のジョン万次郎ひとこそ知らね巧みに辞書ひき愛語唱する

メガネしてカマキリみたいで忽然とあり、推し量るに我が試し時か

眠れぬ夜のテレビの時間あじきなく畢竟うるわしき波ハイジャックせよ

魅惑的な素麺じゃないか、いや饂飩だろ不機嫌でいる厨あつくて

よい子にはご褒美を、卑怯な子には絶望と苦いソーダと悔いを上げよう

わが魂腹を押さえて苦しみて浄土荒涼どんどん濡れ溢れおり

勢いが大切、されどあまた無駄吠えに辟易もあり雨しぶく夜など

あの橋は間違いではない、遠き雷遠き雨雲背に家路急く

 < 岡井隆死去の報に接し>
倒れいし幾千の“昨日の友”がうたう歌、男の背より溢れこぼれて

雲を浮力で風は方程式であらわして、ぼくの生きがい測り直すよ

新しき時代に似合う新しき災禍騒然、ただ中で塩飴齧る

なお濃きを求めまた塗り重ねてただおり、くろずみにしか見えず

童子夜を見据える、くらやみのなんという濃さ鉄分過多に口中の酸し

なにがしか穏やかでない、そう誰も辻褄あわせ夕暮れ河をみている

我慢している飼い慣らされてるしなやかではない、されば消えゆくも良し

道に迷う夢をまた見る、荒涼の近さあやうく二度寝できずに

裏庭に兵隊蟻集め我は訓示す、ぞろぞろ行軍つらぬきとおせよ

野菜売る人買う人買い叩く人、叩きたたかうあまたの人臭し

みずすましあめふらし浴室にぬるく音響く、水わたり来しは誰ぞ

大好きなカツサンドついでにジャワティー心のふしぎ笑みて人をそしる

まず虚無を見据え…なーにお前には無理、小粒な闇でも摘み蹴ってろ

歩き過ぐ一人の影がひたすらに美し、サーモグラフは時々冴え澄む

屋上は夜ひとがいなくなる、夜の空ばかり気にするおまえ連れてゆく

逃れえぬ汝が伝える手旗信号「ツギノイタミマツ」そう、待っている

翅をもがれて蜂、行き場なく傾斜滑り落つおまえ余命ってなに?

致死量のとんかつソースで父も祖父も…なのに憎めぬおまえどこに塩分

救いなどないとはいわず「生まれすぐ死ぬ虫もあるのだ」水を撒いている

母たちが集い諍い都市が生まれた、都市は薄き翅に覆われる…母よ

 

4章 8月1日~

 

人類の柔らかいほうが好き、発端は幾千世代の淡き水よりつらぬく

青銅を刻み削りて光ためおく甕とす、甕より色彩したたれば激し

季節微妙に植物が間違えている、曇る眼鏡で計りおり技師と官吏と

いつとなく風の儀式の最中なり 花摘みの人ら知らぬ間露に閉ざされ

色彩を嫌う人らが集い造られた街、期待はずれな坂道がある 

庭掘れば数多の球根あるに驚く多分ここはきみたちの星、許せ

植物の季節よ、芽吹き茎伸び生殖具放つをやまず夏の庭のけわし

わたしだって島を持ってる、間近には捏造列島憤怒燃えてあり

病弱の人から種子をもらった、夕冷えの部屋より出で急ぎ去る

月の輪を持つ獣もっと謙虚に放電をせよ、牙の気配はうれし

毒イモリ毒イボガエル毒を持つ虫に守護されいまは巣ごもる

尖塔に魔性棲みつく、魔には花の色の似合わずに一夜にて蔦枯れよ

さっき見た夢に志村けんがいて、青空のまま熱もつ夜の極まりぬ

<言葉、雫となり流れ去る>神話にはなれぬ誰かに花捧げたし