置換計画

筆名「石丸公竹斎」の短歌作品を掲載

補完計画→置換計画 2023年後期

第一章 7月1日より31日 35首

梅雨明け前に大雨。新潟は「ビックリ」くらいですんだが、太平洋側で被害が。精神的にいろいろしんどくて、家から出ない。近所のスーパーに総菜を買いに行くほか、社会との接点がほぼない暮らし。いや、隣家の妹には、毎日家に寄ってもらい、問題がないかどうすればよいかなどのアドバイスをもらっている。昨年までは楽しみだったプロ野球中継だが、母もわたしも徐々に無関心となりつつあり、中継中途でテレビ消してしまったり。現在どこが勝ってるんだか強いんだかをよく知らぬ。7月末にオールスター戦、こちらも知らぬ選手ばかりの印象。コロナ5類移行で街中やスーパー内でマスク無しが徐々に広まるが、社会の目を怖がるわたし、もう少しマスク置いておく。

それできみは高く登りたい、でもその先ずっと激しい人として

だって僕ら監視団、嚙み合わぬ人らとこのあとも違う場所で

ないんだ信仰心わたしたちには乾物を、呼ぶ声も鈍くて

追う立場のきみたちへこの街ややこしくて俺は放っているが

おこづかい帳あなたのせいで寝たり起きたり、それなりに自分語りし

結果教えられでもわたしはおらず、そうだね今日でなくてよいのだし

八月に入社準備むろんタコ糸はミャンマー製木の根ではない

ゆっくりと元の場所に戻る、イソップ寓話で得た知識なぞって

子どもらに憑く魔物また来るらし味をしめ、補欠選挙で燃えたで

疲れてるはずなのに大声で笑いだす土木の時間、祈るって?

熊の尾が星座に、そうかこれ救難信号みなの故郷でのこと

70歳の人がわたしを謗り遠ざけてゆっくりと元の場所へ

赤い叉焼なのに連中気にせず夕焼以前の空みるごとく

あの人ととならいい家畜も連れて、お風呂に入るまね口でチャポンと

好きになっちゃった送電線好きですと訴え丘陵デートで

縛られさらされ皆ぎりぎりでお星さまに訴え、蜘蛛だまってろ

認知の母に看取られ死にたい目を閉じ自転車競技を想像し

笑ってやらぬと子どもら僕のやり方で人形を攻め、勝てずに

知らぬ街で風に遮られ、飛行船の出迎え皆で行きたいが

運勢多重の人よ思い出したかあなた見た夢、尋問せねば

ペンギンが半額だって人民元で手早く精算、さらりと

ティラ乃尾部屋の剛力肉食力士、場所後は密林に君臨し

歩行器の母を助け道戻るは守護霊ではなくただの怪物

美しくない二人乗るバス友達と認定されず別れ座りて

私だったユーモア配給係みなサイン出してるてんでの場所で

最強の息子よ探しに行くべし、微風に包まれ二人挟みて

長芋がため息つき話しかけ「爬虫類だったよね」自信なさげで

見えぬか聞こえぬか泣きたいのか通訳よ砕けちゃった人たちは

休憩しポイントを貯め保菌者だったあの日どう呼び止められて

戦勝国の空の色いつもどおり凱旋報告、ROCKしていて

剣豪ブラック死についてつね考え少しずつバスは平行

ルパン落とし物!「大事の前の小事さ」計算尺で測り直して

たぎる魔にぼくら地下へ逃れます収まったかどうかあとは自分で

ニュービジネス宇宙で暮らすみなに仁義という名のカクテル届け

倫敦橋抜け落ち圧について人は学ぶ、今日は悲しい日とも

 

第二章 8月1日より31日 32首

八月に何があって何をしていたのか、思い出そうとして不覚。もうそういう作業が出来なくなっているみたいだ。「公竹齋ブログ」で開陳できるならよいが、文章が書けなくなる、頭の中で言葉が整列してこない、何も考えられないみたいになるかも。とはいえ作歌の方はまだいけるか?不器用なわたしにでも小さな道具ってか武器が与えられてる。今後とも日々の作品を並べていきたいし作品が生まれる過程などもじっとみつけてみたい。当たり前の作業だったのがとてもいとおしく感じられる。

 

「安全なんだ通過するだけなら」こんど老人のきみに会いたい

しんどい杉の子とっさにたくましあなたを選ぶ、乗り移る気で

敗けたもんな邪魔な友のせいそれ以来めぐちゃん誇り持てずにいて

同病憐みみな船に乗せ「妄想をせよ」暴れてる人鎮め

遠くの人に届く旅連れてってチャーリーブラウン、話しかけられ

売れ残りはすべて処分もちろんわたしも発信機のせいにして

自分の扉に自分で隠れ散々なわたしが電気消し待つ

お茶漬けホールディングス決選投票茶碗蒸しプリーズきみに

ハンサムボーイ急がば回れ誰にもチャンスそんなんで驚いて

わたしたちはモンガラカワハギ何度でもぶつかる神さまと太刀打ち

一瞬だね骸骨こわすのもう戻らぬね世界の誰が泣こうが

濃いね君のエンジンあの人のと似る二人してさらけ出す喜び

自動停止あなた恋人候補の基準満たし歌うならここから

向こうから牛車、杭を打つ人ら見てはならぬ方角を知るよし

あなた黒い粒々なのですわたしのせいでここ無風の大地

違う時間違う空気、気を取り直し誰にも知らせずいま行く

僕ら絶句しここで見ていたあの人ふわり命拾いまでを

ネコの置物あつめ田村の念力するとお前プルースト呼ぶ

どうにかせぬと広中平祐もっと遠くの誰か負け惜しみいい

踊り子を見た裏側でよかったサイズですか?ああ計り忘れた

古語を重ね距離をつくり疲れたら並べ替え、すぐそばで疑問符

謙虚な怪物気付かぬ振り、逃げ場はない遊び場ならあるほらここ

人喰い熊とは知らず懇談、そうか君だね失敬のなきよう

森に住むしどろもどろ食性はなんでも食べるが言い訳はへた

怖がりな人宛巡航ミサイルぼくらの出番こわくないと慰め

一人では歩けぬけれど知らぬ振りする、何があったってぼくらは

歌の仲間とは音信不通つまり復讐できぬ、あんたあだ名は?

見てはならぬもの多しきっかけは心霊現象、蝕まれたくて

仲良しなあの人じつは殿さま「がってんだお山の大将」と呼ぶ

脂ぎるフィロソフィに飛び乗り黙らせ、君そこでみたものが答え

あなた見た夢の順みなこうして死ぬ、内側のガラス戸の重さ

次はきみの番、順に死んでゆくバスの乗客みな親戚きみの

 

第三章 9月1日より30日 21首

認知症は本物。9月以降は日々の積み重ね作業の多くを忘れ、過去を振り返っても何も覚えていないという風。自身でその場で苦しみもがき呆然としたりだが、1か月後にこうして記してみようと試みても、ほぼ記憶に残っていない。今後ともそれは続くだろうし、良くなるとか戻るとかはなさそう。近所に住む妹が「精神的な病気じゃないか、そちらなら入院や投薬で良くなる可能性が」と、心療内科を受診したがそちらで「認知症です、投薬は無理」といわれる。歌作が続くかは不明。

 

クレージーキャッツ真空パックでお届け、ヤマトさん君だけが頼りで

暑さのせいいまに斃れる人ばかり急遽呼び出し、悼んでくれ

ワグネルこちら本物やっと手ごたえ尖った部分でくっついて

かくれんぼして狛犬のかげ、長い名の狛犬と知る縛らねば

怖いくらい鰐が献血呼びかけおまえ人喰ったろう「いえ、誰も」と

夢をみ妄想をし日時計は直さず、映画の時間には早すぎ

リンパ楽し気まぐれで誰かを好きに、注意してばらけさせるのも

「風景が邪魔!」見よう見まねでやはり見えない、サラダ買いハムを食い

輸送中にまるめて、変に溝を意識せず変なままを通すので

堪えてきた友が寸断されてる古狐こむこむ蹴ってどうする

母さん、新幹線の邪魔しに行こう肺活量オッケー奇声あげに

ソーメンでできた国と悟られぬよう日時計は直さぬ折れにくく

魚は順に後でよかったカラになり手ほどきの機会うばわれ

誰かの手下と察し触らずすむ場所に放り込む、変なままで

来年はいないきっと今してくれる、映画館は遠いが慌てず

気まぐれで水陸両用、君より長く潜ったぼくら寄る辺なく

いま僕は正しい方角、使い勝手のよい手帳持って切ない

一緒にいたい太陽おまえと「手ぶらで来たの?」それ言ってみたい

察したのだろうそういう夢と「騙されていただけ」加点わずかで

面倒でも迎えてくれる仕方ない人に心霊現象、クレーンで

あなたの周り汚れましたか恋人は大正金時かじり続け

 

10月

 

茹でる、黒い奴らと勝手に名付けキックほどよく仕上がるまでに

ライオン攻めきれず助かった人みな感謝、やはり開いていて

紛いもの母さんへ僕ここで演技「夢多きエッチな子」の役で

密偵、奥さまに愛されるドラマ」みなみているうちこっそり離れ

人生相談ごっこの回答者ですわたし、繋がりは不明だが

 

令和6年1月

 

ふんだんなトーテムポール僕たちは茶飲み話で人を蔑む